今回の黒鷲旗をもって、今シーズンが終わりました。
長いシーズンでしたが選手は、疲労や怪我を抱えながら精一杯頑張ってくれました。
この度、トレーナーを目指す皆さんに、鍼灸師としてスポーツに携わってきた私自身の考えや経験等を発信したいと考え、このようなコラムを始める事にしました。文章を書く事は決して得意ではありませんが、最後まで読んで頂ければ幸いです。
私が現チーム(サントリーサンバーズ)に所属して、6年目のシーズンが終りました。それ以前は女子バレーボールチームの三洋電機レッドソアに1年半所属していましたが、その三洋電機レッドソアが今年廃部になりました。最近の不況の波がスポーツ界にも押し寄せています。
こうしてチームが減少する中、トレーナーを目指す人は増加しているように感じています。その中でチームに帯同するトレーナーとして心がけている事を皆さんの参考になればと思い、第1回目のコラムテーマとします。
まずトレーナーと言っても
アスレチックトレーナーNATA
ストレングス・コーチNSCA
日本体育協会のAT
鍼灸師・柔整師などなど
全ての職種にトレーナーという言葉が使われています。
金銭的に厳しい競技は、トレーナーと呼ばれる人がウォームアップ、リハビリ、トレーニング、治療を見ることがあります。色々と出来ることで仕事の幅は広がりますが、その反面、専門性が薄れてしまいます。
私は鍼灸師です。チームでは治療のみを担当しています。鍼灸師である以上、「治療にこだわりたい」と考えています。鍼灸師であるアイデンティティを持ち続けたいのです。
私たちチームで働く鍼灸師は、勤務や開業などとは違う知識が必要とされます。例えば、選手が怪我した時には診察にトレーナーが同行し、診断や治療方法をヒアリングし、それをチームに持ち帰り、関係スタッフとの協議の上、方針を決定しなければなりません。医者と監督(チーム)の橋渡しをする事が求められ、スポーツ医学の知識や情報を持ち合わせておく必要があります。また常勤のトレーナーとなれば、毎日、選手と行動を共にします。そうなると人間性がとても大切になってきます。私は非常勤の仕事が多いですが、仕事に取り組む上で次の3つの事に留意しています。
1.「スタッフとしての立場を崩さないこと」
選手に一番近いスタッフであれ!という師匠の教えがあります。トレーナーは選手に近い位置にいるスタッフとして接することを考えています。時々選手側に立って物事を進めてしまう事がありますが、あくまでもスタッフという立場をわきまえる事が大切だと感じています。監督やコーチがスムーズに仕事ができ、チームがうまく回るように支えるのもトレーナーしての大切な仕事だと考えています。
2.「自分の仕事に集中すること」
世間には他人の仕事を批判や干渉したり、また、その人の仕事の範囲まで口を出してくる人がいますが、私は他人の事は気にせず、自分の仕事に集中する事を心がけています。いつもベンチで試合を観戦しながら「選手はコートで必死にプレーしている。自分は宿舎のベットで必死に治療する。」という精神で治療に取り組んでいます。
3.「情報を漏らさないこと」
以上の事を踏まえて私は仕事に従事しています。
トレーナーを目指す皆さんに少しでも参考になればと思います。